普天間基地の移設問題で辺野古への国の工事を取りやめる様に沖縄知事が要請した。産経新聞の記事はこう伝えている。沖縄県が防衛相を訴えるとはこのままでは国と県の訴訟に発展しそうだ。
沖縄県の翁長雄志知事は13日午前、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設で、公有水面埋立法に基づく辺野古の埋め立て承認に瑕疵(欠陥)があったとして承認を取り消す手続きを行った。午前10時からの記者会見で正式表明する見通し。
翁長氏は取り消しの効力が停止されると、効力確認や工事差し止めを求める訴訟を提起し、防衛省との法廷闘争に発展する見通しだ。
この移設問題であるが、現状で考えらえるだけの選択肢を挙げてみた。
どの選択肢になるか分からないが、必ずこのいずれかの選択肢を選ばなければならないことはわかる。
この場合、一番まずい選択肢は1である。住宅地のど真ん中に飛行場があり移設が必要なのに、結局揉めて移設が進まなければ「移設しない」という選択肢を選んでいるのと同じことだ。そして一番ありえない選択肢は国外の4である。海兵隊は即応部隊として日本に常駐しなければならないことを考えると4はないし。国外となるとアメリカとの外交問題になる。
そうなると3の選択肢として県外移設となるが、海兵隊を受け入れる自治体を探すとなると移設先の選定からその対応自治体との話し合いも含めてかなりの時間が必要となるだろう。つまり先ほど述べたのと同じ「移設しない」という選択肢を選んでいることになる。
そう考えると現実的に2の沖縄県内でと言うことになる。これ以外の選択肢を選ぶと移設先の決定に膨大な時間を費やして結局1の選択肢「移設しない」を選ぶのと同じになるからだ。
写真を見るとわかると思うが、辺野古は沖縄を南北で分割した場合、北側に位置する。そして普天間が位置する宜野湾市は南側に位置する。沖縄本島をざっくりと説明すると島の南部が栄えていて北部はそれほどではない。本州で例えると、普天間は東京と大阪に挟まれる名古屋の様に交通の要所に位置しており米軍基地が障害物の様に存在している。滑走路が住宅地にあり危険であること以外にも島の中心部で交通の往来に邪魔な存在でもあるわけだ。
一方、移転先の辺野古は島の北側に位置している。東京から北にある岩手や秋田の様な場所に位置していると考えてもらえばよい。(あまりに北すぎると思うなら福島や群馬あたりを考えてもらえばよい)
もちろんこれらの土地にも住んでいる人がいるし移転されれば他人ごとではない。ただ、名古屋といった東京~大阪の交通の大動脈といった場所にあるわけでも人口過密地帯にあるわけでもない。普天間から辺野古に移設するだけでも沖縄県にとって相当負担が減るはずである。ましてや今回は海上に滑走路を作るわけでかなり地域の人達のことを考えて考慮に入れている。
現実的に考えたら辺野古以外の選択肢はないのではなかろうか(というか、それ以外なかったから自民党政権時に大論争の末に辺野古へのV字滑走路というウルトラCで決着したのであるが・・・)
ちなみに現在沖縄の人達は基地問題に対して県民に自己決定権がないことの不満を日本政府に猛烈に抗議している。戦後、米軍に占領されても「いつかは終わるから」と思い我慢し続けてきたのに、戦後70年経過しても基地問題は一向に解決しそうもない。いつになったら終わるのかとフラストレーションが大爆発した形だと思う。日本政府も沖縄に対して真剣に考え直す時期が来たと思う。
その上で沖縄の人達の負担を減らすための解決策として一つの提案をしてみたいと思う。それは沖縄県民が日本政府に対して基地問題の解決を訴えることも大切だが、もっと日本人が(この場合は沖縄在住の日本人=つまり沖縄の人達)が米国、在日米軍ではなくワシントンの米国政府相手に不満を訴えて現状を把握させるべきだと思う。
日本政府はもう沖縄の県民感情が爆発寸前なのは十分に理解しているし、実際に政府が県知事を含め沖縄県を制御できないところまできてしまっている。しかし現実的に沖縄と米国との綱引きの間に入り身動きが取れなくなった政府にはできることは限られている。日本政府に期待するのは非常に難しいと言える。
となるともう一つのアクターである米国にアクションを取ってもらわない限りこの問題は解決しない。現在、米国政府はシリアやISのイスラム勢力とロシアを含めたウクライナ問題に忙しい。沖縄の問題などれほど理解しているか疑問である。もちろん当事者である在沖縄米軍は重要な問題と捉えているし、米政府や軍中央に対応を求めてもいるだろう。
しかし、在日米軍は本土の政治とは切り離された派遣軍である。在日米軍の報告が政府の中枢にどれほどのレベルで届いているかも不鮮明である。米国政府の中枢に直接沖縄の声を届けてより基地問題をもっと切実に扱ってもらうためにも、この現状を米政府に伝えるための直接的なアプローチをするべきではないかと思う。