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失敗の本質―日本軍の組織論的研究

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究

を完読。

 読んでみて思ったことは日本人は民族特性的に戦争(長期戦)に向かないと言うことである。戦争とは地味ながらも忍耐強くコツコツと戦線を維持し、補給や諜報といったものを含め総合的に兵站を維持していくものであるが、日本人は国民性において短期決戦型の鮮やかに華々しく戦うような戦争が得意であるようだ。

 特に兵站の維持における情報(つまり諜報や偵察活動)や補給などの概念に弱く通商破壊という行為の意図を正確に理解している人が絶対的に少ない。潜水艦の活用法を見ても日本軍以外のほぼ全てが通商破壊に使われており、空母や戦艦の撃沈の為に使うのは間違いであろう。

 また、軍事目的の明確なコンセンサスが得られないというのは、これはもはや民族的な問題ではないのかと思う。ミッドウェーにおいて島の攻略か空母部隊の撃滅のどちらが優先事項であるかが明確でなかった事や、またレイテ海戦において主力艦隊の撃滅か補給艦隊の撃滅かが明確化されてなかったというが、これはアメリカが優れていて日本が優れていなかったとは一概にバッサリと切り捨てられるものではないと思う。

 というのもアメリカはその国の成り立ちからして多様な人種や民族がいるため、また英語という言語の性格からして、曖昧な表現を避け目的を明確化せざるを得ない。そもそも日本人の様に言わなくても理解してくれるということは多民族国家ではあり得えないことである。また英語という言語においてより具体的に明確に表現しないと相手に理解してもらえないという言語的な性質が挙げられためアメリカ人はそれこそ逆に常に表現の明確化を求められるといっても過言ではなかろう。;

 その為アメリカは目的や目標を常に明確化するのが必然になり(作戦会議中でも常に他人から「それは何故?」「どういう目的で?」「その意見や政策をサポートする明確な論拠はある?」といったこと聞かれているはずである)逆に日本は同一民族で説明の必要がないため(言わぬが華という言葉が存在する様に)どうしても戦略目標の明確化を図ることが難しくなってしまう。また日本語が言語学的特性として曖昧な表現が多く、それもまた作戦目標をぼやかしてしまうのに一役買っている。

 したがってこれらの問題はもはや民族的な長所短所として述べられるべきであり、日本軍の問題点の一つとして扱うのはちょっと酷なような気がした。(但しそれらフィードバックをよく呵責し、短所を補うような解決策を打ち出すのは当然のことである。)餓島・インパールで日本人は戦死でなく餓死が多発したが、そもそも米軍であれば戦死はあろうが餓死はないはずである。米軍最悪の被害を出した硫黄島で餓死した米兵が何人いるだろうか?

 兵站・補給・情報と言ったものに日本人は非常に弱い為、それらが重要になる総力戦や長期戦といった地味で目に見えた効果がない様な仕事には日本人は向いていないのではなか。特に戦闘機の設計思想などから民族性とその欠陥が読み取れる気がする。

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