を読んだ。
新書の中では一番今まで読んだ本の中で厚かったかもしれない。
数ある太平洋戦争に関する本の中ではかなりの良作であると思うが、一般に言われる名著と呼ばれる部類の中の本と比べると新書の域をでない。よく考えればこの本が文庫でなく新書であることも納得できるかもしれない。
フィリピンにおける日本軍の実態が体験を基に描かれておりその点は資料としても素晴らしい。日本兵同士の同士喰いの話は見にくかったし大本営がフィリピンの現場を全く理解していなかったのもうなずけた。
彼がフィリピンに派遣されたのは陸軍部隊に配備されるためであったのだが、着任当初武器がなく、米軍が来たら山に逃げ込むだけであった。山に攻めてきたら隣の山に逃げる、また追ってくる。また隣の山に逃げるの繰り返しであり、これがフィリピン決戦の真相であった。
大本営は数だけ合わせるために武器も何もない部隊、まさに人だけを比島に輸送したのである。これが全体で70万人近い日本人が戦死したフィリピン戦の実態なのである。