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中国が「一人っ子政策」の廃止を決定

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中国で一人っ子政策の廃止が決定された。日本では中学生の社会科の教科書に掲載されているほどの実験的な人口抑制政策であったが、高齢化に直面して廃止を決定したそうである。以下は時事通信の引用

=独自の産児制限、36年で終止符―高齢化に危機感=
習近平指導部は、このまま一人っ子政策を続ければ、高齢化に歯止めがかからず、景気減速の中で最優先課題である経済の安定成長に悪影響を及ぼすと判断。

人口の変遷を大雑把に考えれば夫婦が子供を2人生むことになれば出生率が2となり人口は横ばいを続けることになる。(結婚しない人など大雑把に除くと)これを強制的に1にするのが一人っ子政策である。13億人いると言われた人口が70年後には約7億人になるという計算だ。

大学時代に授業で見たNHKのドキュメンタリーでは「小皇帝」をテーマに取り上げていたが、人口が増えた理由について、当時の計画経済の偉い博士が「このままでは人口増加が社会的な問題になります。」と言ったのを誤った考えだと決めつけて、毛沢東が多産主義を採用し「1人を誤って批判した結果、3億人が増えた」と述べていたのを覚えている。(調べたら馬寅初という経済博士だそうです)

ちなみに毛沢東は米ソ冷戦も含めて核戦争が勃発して中国では人口の3分の1(3億人)が核で死亡すると考えていた。来たるべき戦争の為に、戦力として兵士は一人でも多いほうがいい。また、3億人死ぬからその後のことも考えてね。という理由から人口増加政策をとっていた。トンデモな人ですね。

一人っ子政策を初めて聞いた際に思ったのは「そんなことしたら将来とんでもない超高齢化社会が到来する」と思ったことだがその当時は「そんな心配はわかっているがそれ以上に人口増加が深刻だ」という反論であった。確かにそれは事実であのまま人口問題を放置していたら総人口が20億人に達するような雰囲気があった。

途上国から先進国になる過程での人口変遷は、例えば予防接種など医学の進歩、農村への農耕機械の導入などの文明化によって多産多死から多産少死、そして少死少死となるのが一般的だ。しかし中国においては「多産少死」の時代が大躍進・文革時代の混迷による社会的停滞によって文明化がひたすら横ばいを続けていたために人口が永遠に増え続けると思われたからであろう。これに農村における労働力問題や儒教の価値観などを含めて人口増加につながったのだろう。

一人っ子政策によって中国社会は大きく変貌した。先ほど述べた小皇帝ではないが、一人っ子によって兄弟・姉妹を持たず、1人息子・娘として甘やかされた世代が増加して社会問題化していること。農村では労働力として男性が求められたために本来1:1である男女の比率がいびつであること。また、戸籍に登録されずに産んでいる闇戸籍の子供など一人っ子政策の闇は根深い。

高齢化社会への危機感から一人っ子政策の廃止を決定したが中国では(共産主義国家なのに)年金制度がそれほど整備されているわけではない。夫婦2人で4人の両親の面倒を見るので将来は最低でも一人で二人の面倒をみる社会が到来する。年金が不安で子供達の世話になるとしても子供たちは1人しかいないわけだから子供世代には両親の面倒と自分達が結婚して生んだ子供の養育もしなければならず大きな負担がのしかかる。

中国は今後更に成長する大きな可能性を秘めた国家でもあるが、人口問題や社会保障問題などそれ一つで国家を根底から揺るがすような問題も多く、いつ爆発するからわからない発射・上昇中の宇宙船みたいものである。膨大なエネルギーで無事に宇宙までたどり着けるか、途中で爆ぜて雲散霧消となるのかは未だ誰もわからないのである。

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