田舎と車社会
最近、高齢者による自動車事故が多発しており、免許の停止を呼びかける意見などもネットで賑わっている。
年齢的に18歳未満が免許を取得できないように例えば90歳以上は免許の執行を強制的に行うというという様な意見である。
確かに17歳の人と90歳以上のどちらが安全に運転できるかというと間違いなく17歳であろう。まあ、年齢的に責任の問題もあるし18歳以下に限度を引き下げる必要はないと思うが、言いたいことは十分理解できる。したがって免許の一定年齢での自動失効については賛成できるところもある。
ただ、ここで言えることは田舎社会では車は歩くこととほぼ同義であることである。例えば東京のコンビニまで5分というのは徒歩のこと。一方田舎の5分は車で5分であり実際に歩いたら30分以上平気でかかる場所も多いであろう。
田舎では現在イオンモールの様な大規模な複合施設であるショッピングセンターが町に1つあり、沿線の大きな街道やバイパスや高速沿いに位置している。徒歩で行ける近所の小さな商店は潰れ、そういった大規模な駐車場を完備したスーパーやショッピングモールで買い物を済ませる様に町が変わってしまっている。
そういう店は車で移動して買い物することが前提になっているために「車に乗れない=生活できない」という死活的な問題が発生する。
東京であれば電車やバスなどの代替手段もあるが、車社会になった地方都市では誰もが車を使って移動するために、バスや電車は廃線が相次いでおり実質的な交通インフラは壊滅している。もし高齢者が自動車の運転が制限されたら息子や娘夫婦などに乗せてもらう以外買い物(というか移動手段)が全てなくなってしまうだろう。
そして、現在は高齢化社会を迎え、さらに子供達と同居しない高齢者世帯も多い。つまり、車がないと買い物にもいけず、気晴らしのパチンコ(地方はパチンコで暇つぶしをする人が多い)も行けないという恐ろしい事態が発生するのである。
こういった安全を考えた際に、高齢者の車の免許の取り上げを提案するのがいいが、水や電気と同じぐらい重要である地方都市における自動車を取り上げた際の代替手段を用意しなければ、一概に賛成をすることができないし、代替手段を考えた上で提案をすべきである。