キューバのカストロ議長がなくなった。議長と呼ぶけど本当は前議長。90歳だったらしい。思ったより若かった。ということは、革命した時も相当若かったんだろう。
カストロと言えばキューバ革命とキューバ危機を起こした張本人。共産主義国家として反米姿勢を明確にしてアメリカに経済封鎖された国家である。
キューバは実は地図を見ればわかるがフロリダ半島のマイアミから150キロほどしか離れていない国家なのである。凄い近いでしょ。
カストロは実は共産主義者でも何でもなく反米主義の単なる革命家でした。なぜ共産主義的なイメージかと言えば全てはソ連のせい。ソ連がアメリカに対抗していたので「敵の敵は味方」というわけで支援が貰えるソ連に頼って共産主義的な振る舞いをしただけ。ある意味コウモリ野郎である。
最近のインタビューでも政府の偉い人が当時を振り返り「もし彼が一言でも共産主義とか言っていたら支持をそこまで得られなかっただろう。我々が行った革命は共産主義や社会主義の革命ではなかったんだ。」と受け応えていていました。
実は共産主義的なのは相棒のチェ・ゲバラの方。医者でありながら革命家に転向したインテリ。純粋でまっすぐな人。不正は許さない。だから今でも理想に生きた人として南米で人気がある。「ヤンキーは砂糖を我々から買ってチューインガムを売りつける」という搾取を端的に表現した捨て台詞がある。
この革命政府が鬼なのは国民に絶大な支持を受けるゲバラを旧政権の首脳部の処刑を担当させる責任者にしたことである。はっきり言って鬼である。
革命後は国立銀行の総裁に就任し、社会主義の理念を積極的に導入しようとして他の首脳部と揉める。でも、彼がいなければ革命はできないぐらいのキューバの大恩人。だから誰も手が出せない。処罰もできない。処罰などしたら革命政府のイメージダウンは必死。文字通り首脳部は彼の扱いに手を持て余した。
だから彼に偽造パスポートを渡してボリビアで革命を支援させるという体のいい厄介払いをさせた。むしろ利害の一致したCIAと手を組んで一緒に抹殺させたぐらいの疑惑があるほどである。
革命後のカストロの密着ドキメンタリーを見たことがある。国連で演説する為にアメリカを訪問してホテルに宿泊したが、ホテルは豪華なスイートルームでなく普通のシングル・ルームに宿泊していた。服も普段来ている作業着の様な服装であった。
カメラを前に「豪華な生活をしているかって?みんなと同じ生活だよ」と飄々と受け応えた姿が印象的であり、キューバでカストロ政権が倒されずに続いている理由なのかなとも思った。
アメリカで授業を受けていた際にキューバについてアメリカ人が「キューバの主義主張や政策が正しいかはわからない。ただ、50年近くもアメリカに経済封鎖されて、それでもへこたれずに続けていて本当に『タフ』だよ」とそこだけは呆れた様に褒めていた。
中南米の国だけ合って共産主義的であってもアメリカと非公式ながらも普通に交流があったりして、軽いノリの部分も多い国なんだなと思わせるのもこの人の性格や統治が国柄に影響しているんだなと感じたりしました。