エヴァンゲリオンは大変難解な作品だが元ネタ(聖書)があって、ストーリーは聖書の引用だというような人もいるわけである。例えばコンピューターのMAGIというもの、そしてMAGIの3つの個別の名前が聖書の『東方より来たりし3賢者』と賢者それぞれの個人名から引用していることが挙げられる。
とはいっても元ネタがあるからといってもそれを活用できるかどうかであって、賢者の名前をそれぞれコンピュータにつけるというセンスには驚かされる。
私がエヴァの好きなところは、ストーリーではMAGIにハッキングをしかけるマイクロサイズの使徒の話や「惣流・アスカ・ラングレー」の惣流が実は日本海軍の『蒼龍』が由来であるといったところだ。この何とも格好いい蒼龍を惣流として登場させる制作者のセンスには驚かされる。
ネーミングセンスとしてもう一つ。ヤシマ作戦だ。これは超長距離射撃による一撃必殺を狙いとした作戦であるのだが、ヤシマというのは「屋島」であり源平合戦での屋島の戦いに由来する。屋島の戦いで有名なのは那須与一という武者(ファイナルファンタジーの与一の弓)である。
沖に逃げている平氏の船から合戦の合間に、竿の先に扇子を掲げた女性が船から出てきたのである。揺れている船の的を目がけて、陸にいる源氏の兵に向かって「狙って見せよ」とちょっとした遊びの趣向をしたわけである。当然外したらメンツがたたなくなるために多くの者達が尻込みをしている中、那須与一が颯爽と現れ、狙いを付けて一発で命中させるという話である。
そういった話の上でヤシマ作戦と名付けられると、見ている側にとって「外せない・必中」といったイメージが伝わってくるわけであり、緊迫感にさらに拍車がかかるというものである。エヴァンゲリオンはそういったちょっと新鮮と言っていい小ネタやMAGIへのハッキングというアプローチがあったりして、そういったところが私的には斬新でおもしろかった。