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「任天堂の底力」  ~ゲームソフトの歴代売上げから~

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ゲーム業界というと任天堂がかつてはファミコン時代を含め圧倒的な地位を築いて来た。しかし、プレイステーションの登場と共にセガを含めた「次世代ゲーム機戦争」が始まるとプレステ陣営のソニーがこの世の春を謳歌し、その一方で任天堂はトップシェアから転げ落ち、辛い苦渋の日々を味わうことになる。

近年はDSやWiiのヒットやライバルのソニーのPS3の失敗などもあり、任天堂が勢いを取り戻してきているが、任天堂とはどのような会社であるかを次世代ゲーム機戦争と言われたプレステ発売以降のゲームソフトの売上げを見ていくことで、あぶり出していきたい。

1.家庭用ゲーム機で100万本以上売り上げたソフト(ミリオンヒット)の数

任天堂

N64  10タイトル
GC   01タイトル
Wii   06タイトル

計 17タイトル ソニー

PS   32タイトル
PS2  23タイトル

計 55タイトル

ソニーが合計55タイトル
任天堂が合計17タイトル

この結果を素直に見れば、任天堂がゲーム機戦争で敗北し、危機を叫ばれたのは当然の結果といえる。特にGCの時代は1本しかミリオンソフト(スマッシュブラザーズ)しかないことからこのまま任天堂はダメになっていくのではないかと心配されても仕方がない。

ただし、まだこの時期はソニーがポータブルゲーム機に進出していなかったため、任天堂はゲームボーイなどのポータブル機で

DS   25タイトル
GBA  04タイトル
GB   25タイトル

計    54タイトル

と合計54本ののミリオンヒットを出しており、据え置き型で苦境の任天堂を支えた。その後ソニーがPSPを発表してモバイルゲームに参入したことから、ポータブルゲーム機においてライバルを迎えた任天堂の売上げがどう変化するのかその動向が注目される。

2.ミリオンヒットソフトの自社開発作品

100万本以上売り上げたミリオンヒットのソフト供給会社を見ていきたい。任天堂とソニーとのハードだけでなくもちろん自社でソフトを製作しており、任天堂はマリオやポケモン、SCEはみんなのゴルフやグランツーリスモなどの代表作がある。

自社開発ミリオンソフト (PS発売以降)

ソニー(SCE)   全55タイトル中、SCE作品は16タイトル

任天堂       全62タイトル中、任天堂作品は50タイトル

確かにソニーは据え置き型ハードで55タイトルのミリオンを出したが、その中で自社タイトルはたったの16タイトルしかない。逆に任天堂は62タイトル中50タイトルを達成している。これはどういう事かというとSCEは常に他社にソフトの供給を依存しているということである。つまり自力でハード&ソフト市場を形成できないということ。

これを多少強引な設定として仮定してみると、任天堂が新型ゲーム機を発表してそのハードには他社のソフトを一切排除して自社ソフト供給のみにしても、55本の作品を自力で100万本以上売り上げることが出来るが、同じ事をSCEがやるとたった16作品しかできないということになる。ミリオン達成ソフトは同じぐらいの数であるが、その意味合いは大きく異なるのである。

つまり、プレステにゲームを提供するサードパーティーは他により良いハードがあればそこに移籍してソフトを売ることができるのである。したがってSCEは何かの弾み(たとえばハード評判が悪い)でソフト供給会社を一挙に失う可能性があるが、任天堂は自社開発ソフトなので、そういった心配はない。この移籍する必要がないキラーソフトを多数抱えるという状況は何よりも開発陣や経営陣に心強い。

したがってソフトの売り上げがWiiの方がより多く販売できると見込んで、PS3で発売を考えていたサードパーティーが、PS3からWiiに鞍替えする可能性は十分ある。(たとえばドラクエ9)

その場合、サードパーティーがプレステから移籍して任天堂で人気ソフトの販売をしてみると予想すると、任天堂陣営が90タイトルでSCE陣営が20タイトル程度といった結果も可能性としては考えられる。

そういった意味でソニー陣営はサードパーティーが任天堂にソフトの供給を変更するかもしれない可能性の心配や、そして変更した場合、ハードの売上げの大幅な低下が起こることが予想できるので、常にハラハラして気が気ではないのだろうと思う。そうした事態を避けるためにもソニーは他のソフト会社との関係を良好に保たなければならないことが必要である。

逆に任天堂は自社開発の強みからある程度のハード&ソフトの売上げの見込みができるため、じっくりと腰を据えて開発をすることができる。この安定感は開発陣にとって、とても強みになる。

3.ミリオンヒットの本質と、歴代販売本数

両陣営50本を超えるミリオンヒットを売り出しているわけであるが、ミリオンヒット、つまり100万本以上売れたソフトというのを更に細かく見ていきたい。
まず、ミリオン達成をした128タイトルのうち、200本以上売り上げたダブルミリオンはどれほどであったかを見てみたい。

200万本以上売り上げたソフト(PS1以降)

任天堂

N64 1タイトル
DS  7タイトル
GBA 3タイトル
Wii  4タイトル
計  15タイトル
SCE

PS  8タイトル
PS2 4タイトル

計  13タイトル

両社15対13と非常に拮抗している。

では次に300万本以上というお化けタイトルであるトリプルミリオンをみていきたい。ちなみに300万本となると歴代でも売上げ30位以内に入るソフトになるので(30位でFFXの310万本)、歴代30本のソフトの比較としてみたい。

歴代販売30位(30位でFFXの310万本)までの中でPS陣営が入れたのはドラクエの2本とFFの1本の計3作品のみとなっており、他27作はすべて任天堂のソフトでしめられている。つまり、27対3という結果になっている。もちろん、ソニーのゲーム機の歴史の短さなどの問題もあるため、一概に歴代作品で比べればハンデが大きいことは明白である。しかし、そういったハンデも含めてみても任天堂とSCEとの違いはそういった次元の話ではないとこれから説明したいと思う。

任天堂の凄いところはソフト一本当たりの売上げだ。ダブルミリオンまでは15対13とソニー陣営も検討していたが、ついにこのトリプルミリオンになると地力の差がではじめる。およそ歴代ベスト30を見てみると「マリオシリーズ」「ポケモン」「ドラクエとFFのRPG」と定番作品のシリーズがランクインしていることがわかる。特にポケモンは出せバドの作品も500万本を達成するキラータイトルとなっている。

こうしてみると、「マリオ」の様なファミコン時代に培ったブランド力を活かして販売しているのだから歴史の浅いPSではまだ太刀打ちできないと思うかもしれないが、そういった過去の栄光だけでなく、「脳トレ」「動物の森」「Wiiスポーツ・Fit」など、最近の作品もあるわけで、過去の遺産という言い訳は通用しない。逆に時代時代でつねにトリプルミリオン以上のキラータイトルの開発に成功していると言える。また、据え置き・ポータブル両方のハードでトリプルミリオンを達成しており、そういった意味で任天堂のソフトウェア会社としての優秀者が一段と目を惹く。

つまり任天堂はNO1ゲームメーカーであるが、コナミやカプコン、エニックススクエアを押しのけてNO1ソフトウェアメーカーでもあるのだ。そういった一流ソフトウェアメーカーとして、任天堂が歴代ベスト30以内の独占しているのである。そういった視点からみると、SCEは強力なブランド力をもった300万本以上のお化け自社タイトルがまったくなく、ソフトの開発力、特にキャラクターのブランド力には任天堂との間に大きな隔たりがあるといえる。

ダブルミリオンの達成数では拮抗した両社であるが、その中でSCEは作品の多くが「バイオ」「ウイイレ」「グランツーリスモ」「みんゴル」などのシリーズ物でコンスタントに200万本前後を売り上げているが、逆に言うと、200万本が限界となってしまっている。また人気シリーズが他者のサードパーティーのソフトだということもSCEの限界である。

それではプレステ自体がハードとして200万本前後が限界かというと、プレステ版のドラクエとFFは共に400万本以上の売上げを達成しており、PSのハード的な問題ではなくソフトの魅力の問題だということができる。

スクエアエニックスのキラータイトルであるFFとドラクエはどちらのハードに供給するかは今後も大きな争点となるといえる。(実際ドラクエは任天堂・FFはソニーに提供という感じになりそうである。スクエア・エニックスが一つの会社のスクエニに合併したことも、ドラクエとFFをそれぞれのハードに提供するといった形で丸く納める状況になっていくと考えられる。)

まとめてみると、任天堂の強みが自社開発ソフトにあると言えると、ソニーのプレステ3が抱えている問題点は、魅力あるソフトを自社で開発できないというソフトウェアの開発力の低さであるといえる。任天堂は新型ハード発売と同時に必ずマリオを販売する為に、消費者はそのままハードにマリオを購入して楽しむことができる。しかし、プレステではそういうことができないため、他の会社に早期のソフトの開発をお願いし、ソフトのラインナップの充実を図る状況になっている。

ソニーは一刻も早く強力なブランド力とゲームの世界から飛び出すキャラクター力をもった作品を自社で開発すべきであろう。

(2007/12)

<参考資料>

SCEのミリオン達成自社作品 
PS1発売1995年以降 全55タイトル中、SCE作品は16タイトル

2 PS グランツーリスモ SCE 1997/12/23 255万本
3 PS みんなのGOLF SCE 1997/07/17 213万本
4 PS2 グランツーリスモ3 A-spec SCE 2001/04/28 189万本
5 PS グランツーリスモ2 SCE 1999/12/11 171万本
6 PS2 みんなのGOLF4 SCE 2003/11/27 166万本
7 PS クラッシュ・バンディクー3 ~ブッとび!世界一周~ SCE 1998/12/17 150万本
8 PS みんなのGOLF2 SCE 1999/07/29 149万本
9 PS パラッパラッパー SCE 1996/12/06 148万本
10 PS2 みんなのGOLF3 SCE 2001/07/26 139万本
11 PS クラッシュ・バンディクー2 ~コルテックスの逆襲!~ SCE 1997/12/18 133万本
12 PS2 グランツーリスモ4 SCE 2004/12/28 116万本
13 PS XI[sai] SCE 1998/06/18 112万本
14 PS アークザラッド SCE 1995/06/30 111万本
15 PS アークザラッドII SCE 1996/11/01 106万本
16 PS I.Q ~インテリジェント キューブ SCE 1997/01/31 101万本
17 PS どこでもいっしょ SCE 1999/07/22 101万本

任天堂のミリオン達成自社作品 
PS1発売1995年以降 全62タイトル中、任天堂作品は50タイトル

7 10 Wii Wiiスポーツ 任天堂 2006/12/02 330万6470本
8 3 Wii Wii Fit 任天堂 2007/12/01 296万7297本
9 17 Wii はじめてのWii 任天堂 2006/12/02 259万3294本
12 4 Wii マリオカートWii 任天堂 2008/04/10 200万3315本
15 5 Wii 大乱闘スマッシュブラザーズX 任天堂 2008/01/31 174万7113本
19 38 Wii マリオパーティ8 任天堂 2007/07/26 131万0766本

1 DS Newスーパーマリオブラザーズ 任天堂 2006/05/25 519万本
2 DS ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ポケモン 2006/09/28 548万本
3 DS もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング 任天堂 2005/12/29 492万本
4 DS おいでよ どうぶつの森 任天堂 2005/11/23 470万本
5 DS 脳を鍛える大人のDSトレーニング 任天堂 2005/05/19 384万本
6 DS マリオカートDS 任天堂 2005/12/08 62万1890本 331万7318本
7 DS 英語が苦手な大人のDSトレーニング えいご漬け 任天堂 2006/01/26 226万本
11DS ポケットモンスター プラチナ ポケモン 2008/09/13 218万7337本 218万7337本
8 DS nintendogs(ニンテンドックス) 柴&フレンズ/任天堂 2005/04/21 186万本
9 DS 人には聞けない大人の常識力トレーニングDS 任天堂 2006/10/26 163万本
10 DS マリオパーティDS 任天堂 2007/11/08 162万本
11 DS やわらかあたま塾 任天堂 2005/06/30 159万本
12 DS ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊・闇の探検隊 ポ 2007/09/13 153万本
18 6 DS リズム天国ゴールド 任天堂 2008/07/31 135万0671本 135万0671本
14 DS テトリスDS 任天堂 2006/04/27 129万本
15 DS さわるメイドインワリオ 任天堂 2004/12/02 121万本 7万6082本
16 DS スーパーマリオ64DS 任天堂 2004/12/02 113万本
17 DS 星のカービィ 参上!ドロッチェ団 任天堂 2006/11/02 109万本
19 DS ヨッシーアイランドDS 任天堂 2007/03/08 105万本

87 GBA ポケットモンスター ルビー・サファイア ポケモン 2002/11/21 540万本
88 GBA ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン 2004/01/29 318万本
89 GBA ポケットモンスター エメラルド ポケモン 2004/09/16 208万本
90 GBA ファミコンミニ スーパーマリオブラザーズ 任天堂 2004/02/14 138万本

91 GC 大乱闘スマッシュブラザーズDX 任天堂 2001/11/21 151万本

92 N64 マリオカート64 任天堂 1996/12/14 224万本
93 N64 ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ 1999/01/21 197万本
94 N64 スーパーマリオ64 任天堂 1996/06/23 192万本
95 N64 ゼルダの伝説 時のオカリナ 任天堂 1998/11/21 146万本
96 N64 ポケモンスタジアム 任天堂 1998/08/01 137万本
97 N64 ポケモンスタジアム金銀 任天堂 2000/12/14 114万本
98 N64 ドンキーコング64 任天堂 1999/12/10 110万本
99 N64 マリオテニス64 任天堂 2000/07/21 110万本
100 N64 マリオパーティ2 任天堂 1999/12/17 107万本
101 N64 星のカービィ64 任天堂 2000/03/24 107万本

64 GB ポケットモンスター(赤) 任天堂 1996/02/27 418万本(※1)
65 GB ポケットモンスター(緑) 任天堂 1996/02/27 404万本(※1)
66 GB ポケットモンスター(銀) 任天堂 1999/11/21 364万本(※1)
67 GB ポケットモンスター(金) 任天堂 1999/11/21 353万本(※1)
68 GB ポケットモンスター(ピカチュウ) 任天堂 1998/09/12 316万本(※1)
72 GB ポケットモンスター(青) 任天堂 1999/10/10 201万本(※1)
77 GB 星のカービィ2 任天堂 1995/03/21 151万本
80 GB ポケモンカードGB 任天堂 1998/12/18 139万本
85 GB スーパードンキーコングGB 任天堂 1995/07/27 108万本
86 GB ポケモンピンボール 任天堂 1999/04/14 102万本

おまけ

歴代販売ランキング

http://geimin.net/da/db/ruikei_fa/index.php

世界歴代ランキング (ニコニコ動画より)

1位 Wii Sports
国内  349万本
海外 3701万本
世界 4050万本 記録更新中

2位 スーパーマリオブラザーズ ファミコン(1985)
国内  681万本
海外 3343万本
世界 4024万本

3位 ポケットモンスター 赤・緑・青 GB
国内 1023万本 
海外 2115万本
世界 3138万本

4位 テトリス GB
国内  424万本
海外 2602万本
世界 3026万本

5位 ダックハント ファミコン(1984年)
国内  28万本
海外 2803万本
世界 2831万本

6位 ポケットモンスター金・銀 GB
国内  717万本
海外 1594万本
世界 2311万本

7位 nintendogs DS
国内  186万本
海外 1981万本
世界 2167万本 記録更新中

8位 はじめてのWii
国内  273万本
海外 1818万本
世界 2091万本 (記録更新中)

9位 スーパーマリオワールド SFC
国内  355万本
海外 1708万本
世界 2061万本

10位 スーパーマリオランド GB
国内  419万本
海外 1395万本
世界 1814万本

1984年の作品である定番のマリオやポケモンから最近のWiiまで、あらゆる世代でヒットを任天堂は出している。任天堂はここ一番でのタイトルの売り上げ数の突き抜け度合いが半端ではない。

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